2019年頃からPDFを開く時に数十秒固まる不具合の対策

2020年9月23日現在、最新のAdobe Reader DCでは、この原因による固まる現象は起こらないようです。(現象を確認したときとパソコンもOSも異なっているので確信はないです)
CドライブをSSDにしている人は、体感するほど遅くならないだけの可能性がでてきました。
(今のところCドライブがHDDのパソコンがないので検証できていません)

ただ、サムネイルの画像が無限に増え続ける現象自体は仕様として残ってるみたいです。
なので容量を圧迫したくない人はこのページの対策を実行してもいいかもしれません。

はじめに

仕事柄PDFを毎日のように使用している人は恐らく2019年頃からPDFを開いた直後(正確にはAdobe Acrobat Acroabt DCの起動時)はマウスホイールでスクロール等の操作ができるのに、すこし経ってからに数秒から数十秒程度、「応答なし」になって固まる現象が発生していると思います。(数十秒経った後は通常通り使える)

その現象について原因と対策が判明したのでここに書かせてもらいます。

1.不具合が発生するバージョン

「ヘルプ」→「Adobe Acrobat Reader DCについて」を選択し
バージョン 2019から始まるものが不具合が発生します。
バージョン 2018から始まるものは不具合が発生しません。



2.不具合の現象

PDFを開く時、通常のパソコンは自動的にAdobe Acrobat Reader DCが起動すると思いますが、起動した直後は、右下に「Acorobat Pro DCでPDFを変換・編集 今すぐ無料お試し」という有料版の広告がでていません。これがでるまでの間はマウスでスクロール等の操作が可能です。
また、マウスホイールで常にくるくる回し続けてスクロールし続ける等の操作している間は右下の広告が現れないようになっているようです。
ところが、操作を止めるか最初から操作しないでいると、右下の広告が表示され、それと同時に数秒から数十秒の間Adobe Acrobat Reader DCが固まります。
その後は、Adobe Acrobat Readerを閉じるまではPDFを開こうが何しようが固まることはありません。
(2020年9月現在、最新バージョンではこの現象は改善されているようにみえます。
2021年6月現在、Twitterを見てみると今でもこの現象が起こっている人はいるみたいです)

3.不具合の原因

2018年10月2日、Adobe Acrobat Reader DCが2018から2019にバージョンアップしました。これにより、「最近使用したファイル」の一覧にサムネイルが表示されるようになりました。




このサムネイルは「ConnectorIcons」フォルダに保存されています。
このフォルダに直接アクセスするには下記の「」内の文字列をコピーしてフォルダのアドレス欄に貼り付けた状態でエンターを押すと飛ぶことができます。

「%userprofile%\AppData\LocalLow\Adobe\Acrobat\DC\ConnectorIcons\」



このフォルダにはサムネイルのファイルが画像(bmp)ファイルとして保存されており
2018年10月2日にVersionが2019にアップデートされて以降PDFを開くたびに1つずつファイルが増えていくようになりました。


メニューバーの「編集」→「環境設定」→「文書」と選択して、
「最近使用した文書にリストする数」の初期値である100を超えれば、それ以上が保存されないのが普通ですが、どういう訳か、「最近使用したファイル」の数が100に到達しても、PDFを開くたびにサムネイルのファイルは増え続け、Adobe Acrobat Reader DCの起動時に全てのファイルが読み込まれる為、その間は固まってしまいます。


つまり、2018年10月2日以降にPDFを開いた数が多ければ多いほど、
無制限に固まる時間が長くなっていく」という事になります。
そして、「最近使用した文書にリストする数」を少なくしても、例え「0」に設定して
「最近使用したファイル」がまったく表示されないようにしても、ファイルと固まる時間が増え続ける現象を食い止めることはできません。


当然これは不具合にあたると思うのでいずれは修正されることになると思いますが
2018年10月2日以降半年経った今も未だに修正されていないため、当分の間別の方法で対策を取る必要があります。

4.対策

「最近使用したファイルをクリア」選択すると現在表示されている分のサムネイルのファイルは削除されますが、「最近使用した文書にリストする数」を超過している分は削除されません。
例えば、サムネイルのファイルの数が400件だとすると「最近使用した文書にリストする数」がデフォルトの「100」だとすると、サムネイルのファイルの数が400個から300個にしか減らないため、固まる時間も3/4にしかならないため、効果が薄いです。

そこで、「ConnectorIcons」フォルダのサムネイルのファイルを全て手動で削除してしまう事にします。その状態でPDFを開いて「Adobe Acrobat Reader DC」を起動してみると、1度目は右下の広告が表示されると同時に1秒ほど固まりますが、その次からは固まらなくなります。恐らくサムネイルのファイルを1度は探しに行ったが見つからなかったので、その次からは探しに行かなくなったのだと思われます。
当然「最近使用したファイル」のサムネイルは表示されなくなりますが、それ以外に目だった支障はありませんでした。
もしサムネイルが表示されなくなるのが嫌であれば、更新日時が最新の100件だけ残して超過した分のみ削除すればいいと思います。


しかし、これで解決という訳にはいきません。
このままではこの後にPDFファイルを数百件開いた場合、またしてもサムネイルのファイルが増え続けてしまい、固まる時間も増えていくからです。
そこで「ConnectorIcons」フォルダにファイルの書き込みを禁止することにします。
以下にその方法を記します。

①「ConnectorIcons」内のファイルを全て削除している状態で右クリックしてプロパティを開きます


②「セキュリティ」タブを選択します
③「編集」を選択します

④現在ログインしているユーザー名を選択します
⑤「書き込み」のみ拒否側にチェックを付けます
⑥「OK」を選択します


⑦「はい」を選択


後はプロパティを閉じてもらい、
実際にPDFファイルを開いても「ConnectorIcons」内に新たにファイルが追加されなければ成功です。
ファイルが追加されてしまう場合は、一度書き込みの拒否を外し、選択してるユーザー名が正しいか確認してください。

5.まとめ

この現象は2018年10月2日にAdobe Acrobat Reader DCが2018から2019に自動的にバージョンアップしたことが原因です。
しかし、その直後はまだ保存されているサムネイルのファイルの数が少なかった為、固まる時間も短く、不具合を自覚している人はほとんどいなかったと思います。
ところが、サムネイルのファイルも数か月かけて溜まっていき、徐々に固まる時間が長くなっていき、2019年頃から不具合を認識する人達が表れ始めました。
(自分の周りだけ発生しているのかもしれませんが、インターネットで探してみて似たような症例はいたので恐らく他にも不具合が発生している人はいると思います)
この方法はあくまで対処療法であり、いつかこのAdobeが不具合を修正してくれることを望みます。
ちなみに私がこの不具合を確認しているのはWindows 7 32bit版のみですが、
Windows 10でも同じく発生しているそうです。